NavyTern’s blog

思考の試行。

「え、なんでネパールなの?」

前回の続きです。

初めてサークルのリーダーの人と会う日です。
「や、はじめまして!」と笑顔のお兄さんは衝撃でした。

「こんな爽やかな人間が存在してるなんて、大学すげえ」とか考えながらサークルの説明を聞いていると、説明に必要な書類を持った人がちょっと遅れてくるとのこと。しばらく待っていると、現れたのはヒゲ面のっぽ。

「うわぁ…うわぁ。この人も大学生なんだ…?変な人来ちゃった。こんな人もいるなんて、大学すげえ」

先ほどとは別な角度からの衝撃を受けつつ、その日は帰ることに。
一緒に話を聞いていた学生は「いやー参加費高いから俺は行かねーわ」と言い残して消えていきました。

結局、その年に参加した一年生は僕だけでした。比較的にメンバーの流動が激しいサークルなので、上級生でも初参加という人は何人かいて、心強かった?です。

学校のクラスでその話をすると、「え、なんでネパールなの?」とまるでキ××イ扱いです。皆の中では、初めての海外体験、初めてのサークル活動、初めての夏休み=ネパールとはならなかったようです。
「危ないよ」とか、「もっと別なことすればいいのに」とかありがたいご忠告やアドバイスをたくさんもらいました。

でもね、飲み会で先輩に飲まされたとか、ポケモンの新しいのがどうとか、バイトがどうとか。
そんなことはどうでもいいんだ。僕はそんなことしても楽しくないんだから。自分と同じじゃないことを認められないというのは、なんともさもしいなーとか曲解甚だしい限りでしたね。

すぐに実家に帰り、お母さんに頭を下げて資金を調達。バックパックや寝袋を買い揃え、ヒゲ面のっぽの先輩が作ってくれた旅のしおりを何度も読みました。ミーティングもちゃんと出て、優しい先輩がいっぱいだなーと思いつつ、夏になりました。

初の成田。こんなところ一人で来たら、生まれたての小鹿よろしくガクガクしちゃうぜ、とか考えながら先輩の後をついて行きます。

タイのトランジット。長い&寒い。機内でぱくったブランケットがなかったらクーラーで凍死するレベルでした。ヒゲ面のっぽ…今更だけどK氏です。K氏は毎度のことなのか、ビールを片手に筋トレを始めています。なんでだ。
爽やかリーダーM氏はインドに行っちゃうし、母なる4女N氏はK氏の写真ばかり撮っています。海外に行くってこういうことなの?違うよね?思春期真っ盛りです。

ネパール着。着いた!そしてうるさい!
タクシーの運ちゃんが死んだ魚のような眼をして「安い、安い」を連呼。しおりには「華麗にスル―すること」と書いてありました。やってみると結構難しいんだけどね。無理矢理視界に入ってくるんだもん。
走る車はクラクションの大合奏。日本の暴走族など大人しいもんです。
現地語で値段交渉をするN氏にくっついて首都カトマンズへ向かいます。

ここで早くも体調不良になります。僕は車酔いが激しいにもかかわらず、「酔い止めなんか…」と意地を張っていました。ホテルに着いた瞬間ダウン。雨のせいなのか、完璧に日の当らない設計のせいなのか、すごい湿ったベッドに倒れました。

実際のキャンプ地はバスで一時間のところにありました。僕はビニール袋を握りしめ、遠くを見ていました。「無になれ、無になれ」と念じながら。しかし耐えきれず、リバース。今考えたら最低の一年生ですね。や、今もあんま変わらないか。

車に乗らない限りは超元気だとか思っていたら、そうです、アジアの洗礼を受けます。
超お腹痛い。もう排泄物はずっと液体です。お食事中の皆様、全力ですいません。
でも、その内気付きました。

「お腹が痛くても、まだ動ける」

頭が痛くなってぐるぐるする車酔いに比べたら、まだマシかとボランティア開始です。
基本的には肉体労働です。レンガを運んだり、50キロのセメント粉を背負って運んだり、2m四方ぐらいの木製の窓枠を運んだり。しんどさは真夏の引越し屋のバイトを思い浮かべてもらえれば分かりやすいかと思います。

何もかもが初めてで、どこに行くにも先輩の後ろをくっついて歩いていました。歩きながら自覚してたけど、完全に金魚のフンです。
色んな事が新鮮で、この年が一番楽しかったなぁ。まさかこのあと4回もネパールに行くことになるとは思ってなかったけど。

でもこの年は、肝心の写真撮り忘れてるんだ。ファインダーを覗くより、自分の眼で見て感動する時間の方が多かったんだと思う。ネパールは、色んな色が街中にあるから見てて綺麗なんだよね。あと割と足下見てないと転ぶ。当時はまだ道がでこぼこだった。

そんなこんなで、無事に帰国した。
このとき、3週間体を洗っていなかったのと、ヒゲを剃っていなかったので、正真正銘のゴミでした。ネパールにいる時点から、N氏から強烈な迫害を受ける程、ゴミでした。人間扱いされないって超辛いですよ。何をするにも汚い、汚いと邪険にされて。
あ、身だしなみってすごい大事だって教わりました。

帰国初日の夕方、タイムリミットだったのか39度を越える発熱。それから3日動けなくなります。トランジットの時に携帯をなくしていたので、親にも連絡が取れません。3日目にギリギリ歩けるようになったのを見計らって実家に駆け込みました。

検査の結果、カンピロバクターが腸内にいるとのこと。検査ってあれですよ、病院のベッドに横になって、あそこからああいうのを入れられる訳ですよ。食事中の方、全力でごめんなさい。
沈黙も気まずいから話しかけるんだけど、ああいうときの看護師さんって結構冷たいよね。


ということで、続きます。
次回、「なんで俺はここにいるんだろう」